浜松市の水道民営化を考える市民ネットワーク

 浜松市は、上水道のコンセッション(施設は市が所有したまま、運営権を売却する民営化)を計画していました。すでに下水道事業はフランスの多国籍企業ヴェオリアウォーターを中心とした会社が運営しています。工事は当初公共入札でなく、随意契約でヴェオリアの子会社に発注していました。多国籍企業は浜松のように黒字で水道料金が安く、企業が参入しても値上げしやすく、儲かるところを狙っています。海外ではこの2000年から2019年までに311か所で再公営化といって、民営で行っていた所を元の公営に戻しています。浜松市長は2019年の市長選を前に水道コンセッション判断の当面延期を発表しましたが、コンセッションは有効な手段とも言っています。私たちは延期になっている水道コンセッション計画を断念させることをめざして活動しています。

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「世界の趨勢(すうせい)は再公営化・失敗している水道民営化政策を繰り返さないために」 その5

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2018年7月22日、第60回自治体学校in福岡 分科会10 
「公共の福祉からの変質をねらう水道法改正」より


トランスナショナル研究所研究員の岸本聡子さんの講演
「世界の趨勢(すうせい)は再公営化・失敗している水道民営化政策を繰り返さないために」 その5

「世界の趨勢(すうせい)は再公営化・失敗している水道民営化政策を繰り返さないために」 その5
≪イギリス労働党、再国有化の政策・水に関して支持率は83%≫
 日本のPFI法のモデルとなっているのはイギリスです。
イギリスの労働党が出した2017年の選挙公約では、主要な公共サービス、水道・電気・交通・郵便の再国有化というのが入りました。そして、公的な保険サービスの民営化をストップするが入りました。これがですね、びっくりするほどの大人気だったのですね。そのあと、メイ首相が保守党の地盤を固めるために選挙をするが、結果として労働党が大飛躍をした。記憶の新しい方もいらっしゃると思います。その背景には、若い人たちの、いままでの党員の人たちではない人たちが労働党を支持した。そこまでに英国の貧富の格差、排除が非常に深く深く進んでしまい、そういう中で、これはいかんともしがたい状況の中で、平等、公正、言ってしまえば至極当然のお金が、企業だとか、株主だとか、タックスヘイブンに流れない経済、本当に国民が求めていると言えると思います。
 再国有化の政策、特に水に関しては、その支持率は83%だと言われている。83%の支持はすごく高いけど、高いと思う理由ですが、労働党は、4日の休日を増やすことを約束しているが、その約束に関しては75%の支持。想像していただけると思いますが、それだけの国民が、公営に戻したいと思っている。

≪イギリス PFIで起きていること≫

そして、PFIに関しては、これは多くは行政サービスに使われている。学校建設、病院の建設などに使われていますが、ちなみに、たくさんのスキャンダルが言われていますが、すごく面白いなと思ったが、尾林先生もおっしゃっていた建物等の設計とか、そこに行政が関わらないことで、例えば嵐で学校が壊れることが起きた時、学校が壊れると基本的に授業ができないので、子どもたちは他の学校に行かなければいけない。その壊れた学校を何十億も借金が残っている。それを払い続けなければならない。学校は壊れた、そのまま修繕もしない、契約書に書いてないので。ただし、借金だけは返す、30年はかかる、考えられない、住民がまったく使っていない壊れた学校のために年間ものすごいお金を払わなければならない。それも20年、それも契約に寄りますが。主にスコットランドで起きている。

≪ポルトガル 企業に補償額100億円/国際法廷は企業側に非常に有利なシステムがある≫
 それから、イギリスだけではなく、もう一つ例だけを紹介させてもらうと、これはポルトガルの例ですが、5万人の都市の上水道のPPP契約、ヨーロッパは大体PPPを使う。
 保守政権が担当していた時の契約書で、新しく社会党系の市長が生まれて、契約書を見てびっくりというのがありました。なぜか人口が2倍になると書いてある。普通に考えればあり得ないことだったが、水需要が2倍になるどころか減ってしまった。企業がそれに対して補償を求めると。新しい市長がびっくりして、なんで払わなくてはならないのだと、よくよく契約書を見たらそう書いてある。補償額が100億円というレベルだった。5万人の都市で、これは払える金額ではない。どうしょうと頭を悩まし、企業と交渉するが、結果的には訴訟になった。企業はそんなことでお気の毒にと妥協は絶対にしないので、国内の法廷で自治体が勝てば、今度は国際法廷で、これは話は別、国際法廷では企業側に非常に有利なシステムがありまして、それにかかる訴訟費用も膨大になる。

≪費用削減はよく中身を見なくてはいけない/PFIやPPP契約は企業がどんどん契約書を変えて来る≫
 実際に、関東の自治体の市会議員にお話ししたのですが、市会議員の皆さんは大抵PFIを導入すると、「5年間で2億5000万円の費用削減」に反対するのは難しいが、それをよくよく見ていかなくてはいけない。
モニタリングだとか、紛争になった時の弁護士費用を含めた訴訟費用とかが入っていない。
PFIやPPP契約では、ものすごい特徴は再交渉というのが確実にある。企業はどんどん契約書を変えて来る。冗談みたいですが、契約書が82ページどころか、市長のテーブルの上にどーんと置かれる。そういうことなのです。
一般的に言われていることは、コンサルタント・会計士・弁護士に払う費用が15~20%になる統計もある。これを全部入れた上での2億5000万円なのかと、きちんと細かい質問をしていかなければいけないかなと思う。

(注:段落の見出しは編集者(N)が付けました。)
続く・・



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